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6畳あるかないかくらいの休憩室。
そこの黒いソファーに小宮さんを寝かせ、部屋に備えてあった毛布でその体を包んだ。
10分ほど経った頃だろうか。
「あれ……?」
眠っていた小宮さんがゆっくりと目を開け、覗き込んだ俺を見て、慌てて体を起こそうとする。
「まだ顔色が悪いですので、横になっていてください」
すかさず起き上がるのを制止すると、小宮さんは何度か瞬きをしてから、おずおずとまた体を倒した。
「す……すみません」
「いえ」
俺はソファーの横に広げて座っていた折りたたみ椅子に、再度ゆっくり腰を下ろし、
「大丈夫ですか?」
と声をかける。
「大丈夫です。あの…………多分貧血だと思います」
「貧血?」
「えと……、かなり遅れてきて……重くて……」
「……?」
「って、すみません。……いらない説明をしてしまいました」
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