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恥ずかしそうに毛布で顔を半分隠す小宮さん。
なんのことだかようやくわかった俺は、
「前回と同じ薬でよければ、今から買ってきますが」
と尋ねる。
「いえ、貧血だけで、痛みはそれほどじゃないので……大丈夫です。ありがとうございます」
「そうですか」
沈黙が流れる。
まだ青白くて少しぼおっとしている小宮さんを見るに、彼女の業務再開は無理そうだ。
病院に行くほどではないからもう少し休ませて、帰るか残るか判断させればいいだろう。
そう思った俺は、部屋を出るべく静かに腰を上げる。
「……南条さん」
「はい」
「……すみませんでした」
立ち上がったところで呼び止められた俺は、仰向けで寝ながら話す小宮さんを見下ろす。
「いえ、体調が悪い時は……」
「それもですけど……、あの……、今まで散々ご迷惑をかけてたみたいで……」
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