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まだ青くて硬い実は
食べても全く味がなく
青ざめた無表情の顔色は
自信を無くして硬直した
そんな私と何処か似ていて
美味しくないから誰も近寄らず
手足は硬く固まったままで
ただ紅く色付くのを待っていた
美味しさをアピールしなければ
売れ残ることは知っていたのに
不味いことはわかっていたから
食べてもらう価値などないのです
ほんの少し色付いて頬を染め
誰かが来てくれることを期待して
だけど私より美味しい実を求め
誰もが私の前を素通りして行く
私だってここにいるのに何故?
どうしたら美味しくなれるのだろう
時だけが流れ無意味に熟した実
食べて貰えないまま皮膚は爛れ
本当は柔らかくて美味しいのに
美味しくないと思い込んだまま
誰よりも私が一番、否定してた
だから怖くて何も出来なかったの
このままだと腐ってしまうでしょうね
そう言いながら誰もが私を嘲笑っている
そう感じてしまったのは私の心が
勝手にそれを決め付けていたから
わかっていても出口のない迷路の中を
ぐるぐるぐるぐる まわるまわるまわる
自分では認められそうにないから
ただ誰かに認めて欲しかったんだ
“あなたはとても美味しい実を持っている”
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