side K

14/40
前へ
/40ページ
次へ
「なんかさ、これ運命っぽくない? 私達ってばキューピット? もう映画化決定じゃない?」 「……うん」 「そのメモ紙、月曜日に絶対南条実篤に渡さなきゃね」 「…………うん」 電車を降りて本屋であーちゃんの買い物を済ませた後、横断歩道を渡りながら、私はコートのポケットの中の小さなメモ紙を指で確認していた。 さっき、ファソラで偶然会った南条さんの元カノさんに、「彼とどうしても話がしたいので、これを渡してください」と、連絡先を書いた紙を渡されたのだ。 「やっぱ、あれだけの人が出てくると、憧れだけで盛り上がってた私とかお姉ちゃんなんて、ホント蚊帳の外なんだって思い知らされるよね。嫉妬する気も起こらないわ。なんかほら、あれと似てる。好きな俳優が結婚すんのも、美人女優さんなら諦めがつくけど、一般女性なら無性に腹が立つっていうか。それなら私でも良かったんじゃない? っていう」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2889人が本棚に入れています
本棚に追加