side K

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「あーちゃん、その一般女性も超美人なんだよ。顔が出ないだけで」 「わかってるけどさー」 脱線した話を広げるあーちゃんの横で、私は頭も胸の中も足取りも、なんだかもう全てが重たかった。 店から出る間際に見た彼女の左手。 その指には指輪など無かった。 結婚したって南条さんから聞いた気がするけれど、それは彼女の嘘だったのか、もしくは離婚したのか。 いずれにしろ、連絡先を渡してほしいって言うくらいだから、フリーなのだろう……。 「……」 ……“憧れだけで盛り上がってた”?  “嫉妬する気も起こらない”? 時すでに遅し。 数ヶ月前だったら、あーちゃんのその心理と全く同じだっただろうけれど、今は……痛い。 痛すぎる、心臓が。
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