side K

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「あ、コンビニ寄ろう」 私の返事も聞かずに、コンビニに入っていくあーちゃんの後ろ姿。 続けて入ってから思い出した。 このコンビニは、あのコンビニだってことに。 「……」 だからなんだ。なにも関係ない。 別にここに入っちゃいけないっていうこともないし……。 そう心の中で呟きながら、レジに例の男の子がいないことになぜかホッとして、自分も飲み物を買おうと店内を物色する。 「あの長身の人、元気ですか? 最近全然来ないんで」 油断していた。 パックの野菜ジュースに手を伸ばしていた私の横に、いつの間にか商品陳列中のその男の子がいた。 あの長身の人?  ……って、南条さんのことしかないよね?  彼は、名前も知らないんだ。 「元気みたいです」 驚いたけれども、とりあえずそう返すと、彼は、「そうですか」と小さくはにかんだ。
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