side K

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リアルでそういう人を前に、私はBL本を見た時のときめきなんて全く感じなかった。 けれども、彼の気持ちがすごく伝わってきて、胸が痛みを訴える。 「……いいですね、あなたは女性で」 「え?」 あーちゃんはペットボトルコーナーにいるし、他の客も近くにいない中、プリンを並べている彼が横顔で話を続ける。 「それだけで、彼の恋愛対象に入ることができる」 「……」 「いいなぁ……」 その言葉を最後に、他の店員に呼ばれた彼はスタッフルームへと消えていった。 私は野菜ジュースを手に持ったまま、しばらくその場に佇んでいた。 次の日の日曜日、生理がきた。 わかっていたはずなのに、なぜだかちょっとだけ……ショックだった。        
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