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ケーキとコーヒーの匂いとは別に、香水だろうか、花のいい香りがして、何気なく私は顔を上げた。
会釈をした店員さんがちょうど顔を上げた去り際だった。
「……」
息を飲む、というのはこういうことを言うのだろうか。
サラさんとは違う、落ち着いた大人の日本美人。
横に白いシュシュで束ねられた、枝毛ひとつなさそうな艶のある長い黒髪、白く透き通った肌に、控えめな赤の口紅。
睫毛も長くて、多分マスカラとかアイライナーとかしてなさそうなのに目力がすごかった。
妖艶と言ってもいいくらい、色気だだ漏れだ。
「……見た? あーちゃん。今の店員さん、めちゃくちゃ美人。多分あれ目当てで来る男性客も多いんじゃないの?」
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