side K-2

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そのワードに顔と体が不自然なくらい反応してしまい、私は慌てて、 「すみません、ちょっと、タイムいいですか?」 と及び腰になった。 一気に伝言2件目のことを思い出し、そのとてつもない恥ずかしさがぶり返す。 「よくないですね」 「し、仕事中なので、も、戻って業務再開し……」 「ちょうど今、終業時間です」 うわ。マジだ。 横目で時計を確認した私は、ぐうの音も出なくなる。 「寄りましたよ、ファソラ」 「え?」 「そこで、私の過去の知り合いに会いました」 その言葉を南条さんの口から聞いた途端、脳内の大騒動がピタリと止まった。 瞬きも息も忘れるくらい頭が真っ白になり、『会いました』という無機質な声が耳鳴りのように何度も繰り返される。
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