side K-2

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「小宮さん」 「だ、大丈夫ですので、あの」 「小宮さん」 南条さんの手が私の腕を握って、かろうじて作ったバリアを取ろうとする。 私は頑なに力を入れて、体を丸めるように腰を引き、その手を引き剥がそうと足掻く。 まるで殻を取られまいとするエビだ。 「だ、大丈」 「そこまですると、大丈夫じゃないの気付いて、って言ってるみたいですよ」 「……っ!」 その言葉で力がふっと抜けてしまった。 観念した私の腕を下ろさせた南条さんが、静かに私の顔を覗き込んでくる。 目が合った。 合ってしまった。 本当に久しぶりに。 唇が震えて、鼻までヒクヒクなってしまう。 私は、もう逃げも隠れもできなくなって、 「だ…………大丈夫じゃ……ないです」 と、なんとも情けない声を絞るように出した。 出尽くしたんじゃないかっていう涙がまた滲んで、瞬きをしたらゆっくりと頬を伝って落ちた。
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