side K-2

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「ハ……」 目の前で、南条さんが声を出した。 ……というか……。 「ハハ」 鉄仮面がくしゃっと歪めば、目尻にシワが寄り、まるで少年のように屈託のない笑顔が披露される。 南条さんが…………南条さんがっ…………声を出して笑ったっ。 「わ……わら、…………わら、う、とか……」 「あの人からは、謝罪されました」 顔は戻したものの、柔らかい雰囲気をまとっている南条さんが、私との間にポンと言葉を置く。 「ずっと俺とのことが引っかかっていたそうです。10代の頃から振り回したこと、歪んだ関係を何年も続けたこと、一方的に会わなくなったこと。そのことが俺の気持ちにどれだけ垢や傷をつけたか、彼女なりにずっと悩んでいたらしい。本当は心があったからこそ」 「…………」
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