side K-2

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「……苺の宝石タルト?」 「よく御存じですね。…………あぁ、古賀さんに買ってきてもらったのですか」 「……はい……美味しく、いただきました……」 顎に手を置いてそう答えながら、頭の中を整理する。 美魔女、恋人あり、近々入籍……。 「じゃあ、次からは俺が」 「嫌だ。それでも嫌です、南条さんがファソラに行くの」 情報を飲みこむのに必死だったせいか、咄嗟に心の内がこぼれ出た。 「…………」 し……しまった。 ポンッと、両頬にピンクの花が咲き、間抜け面をさらしてしまう。 資料室が静まり返り、たまたま廊下を通ったらしい社員の足音が一際大きく響いて聞こえた。 南条さんは一瞬だけ静止して瞬きを一回すると、コホンと小さく咳払いをする。
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