side K-2

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「……それで、留守電の件に戻りますが」 「や」 うわ、ちょっと待って。 「2件目」 「き、聞き違いかと」 「5回以上聞いたので聞き違いではないかと」 「3件目で取り消し……」 「できていませんね」 今まで1ミリも動かなかった南条さんの足が一歩、私のテリトリーに踏み込んだ。 咄嗟に俯けた頭が彼の胸に当たってしまうくらいの距離。 その頭にゆっくりと南条さんの指が触れたかと思うと、私のつむじ付近の髪の毛を少しだけ指櫛で梳いて、ふわりと落とした。 「……」 ごくり、とすごい音で飲んでしまった生唾。 でも、彼とのこの距離に本当は慣れているということを私の体は知っている。 触れられる心地よさを知っている。 そのことを期待し過ぎてどうにかなってしまいそうな体と、恥ずかしさと緊張でどうにかなってしまいそうな心で、もう立っているのがやっとだ。
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