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「なんじょ……」
「確かに言った、小宮さん」
頬を固定されたまま、今度こそ正真正銘の壁ドン……いや、資料棚だから、棚ドン?
この際どちらでもいい、とにかく逃げ道を失った。
唇の下のくぼみに添えられた親指で撫でられ、まるで猫にでもするような仕草にすら心拍が跳ね上がる。
笑ってはいないけれど細められたその目から、南条さんの気持ちが流れ込んできたような気がした。
ゆ、夢を見て……いいのだろうか。
いや、夢じゃダメだ。
現実を見て、はっきりしっかり見て、それで……。
何度もためらって、小さく開きかけては閉じる口。
何度かそれを繰り返した私は意を決して、
「南条さん、あの、き、記憶違いだったらすみませんけど、わ、私のこと、あの、す、好きだって……言いました?」
と尋ねた。
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