2994人が本棚に入れています
本棚に追加
気付けば頬と顎にあった手がゆっくり下りて背中に回されていて、包み込まれている最中だった。
南条さんは何も答えずに、その腕の力をじわじわと強くしていく。
南条さん側にスローモーションで寄せられる私は、その胸に顔をうずめながら、
「私のこと……す、好きなんですか?」
と、こみ上げてくる涙と気持ちを押さえきれずに再度尋ねる。
私の頭の横に自分の頭を寄せてコツリとしてきた南条さんが、まるで深いため息をつくように、
「……かなり」
と言った。
資料室の蛍光灯が作る私達の重なる影が、またぎゅっと小さくなる。
「このまま好きでいても、いいですか?」
最初のコメントを投稿しよう!