side K-2

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「……」 「……」 どのくらい、そうしていただろうか。 私を包む南条さんの腕の力が少し緩んで、ふたりの間に僅かな隙間が作られた。 頭を胸に預けながら、南条さんの心音にいくぶん落ち着きを取り戻してきた私は、ふと、ポケットに入れたままだったメモ用紙のことを思い出した。 「南条さん……あの……これ」 それを取り出して見せると、南条さんは何も言わずにほんの少し顔を傾ける。 「すみませんでした。ファソラに行ったとき……渡してって頼まれてたのに……渡せなくて。い……今更過ぎますけど」 「あぁ……彼女と会っていたんですね」 「はい。偶然が重なったんですけど、たまたま妹がその人のことを知っていて」 顔の前に持ってきたその紙を受け取り、 「連絡先ですか?」 と聞いてくる南条さん。 「……です」
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