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南条さんはそれを開いて見ると、そのまま私に返して、
「もう話は終わったので、小宮さんが処分してください」
と言った。
「……」
すかさず返されたことで、私の心臓がまた飽きもせずに跳ねた。
ナチュラルに気持ちの証明をしてくれる王子対応にドギマギしてしまう。
「俺も……」
今度は南条さんが背広の内ポケットから何やら取り出して、私の手の平に乗せる。
「すみませんでした」
そのくしゃくしゃな紙を開くと、なくなったと思っていたものだった。
「これ……辻森さんの名刺……」
「……です」
ほんの少し、本当にほんの少しだけれど、南条さんがバツの悪そうな顔をして視線を伏せた。
嬉しさと意外さで頬が緩んだ私は、そのくしゃくしゃ具合さえも愛しく感じて、だらしないにやけ顔をさらさないように下唇を噛む。
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