side K-2

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私は間抜けな顔をさらして眉を上げ、「ん?」と言った。 確かにそうだ。 いろんな情報と出来事に追いやられて、そのことは心の隅でぺしゃんこになっていた。 「それじゃあ、誰ですか? “彼女”って」 「え?」 その時、資料室のドアが開いた。 私と三浦さんふたりともそちらへ注目すると、 「失礼します」 と、端正な顔の端正な唇が一言、静かな資料室に低い声を響かせた。 「…………っ!!」 はうあっ!  帰ってこられた、南条公が! 私は驚きと動揺で咄嗟に三浦さんの後ろへ後ずさり、背後の資料棚に背中をぶつけ、両手をびたんと忍者みたいに這わせた。 ど、ど、ど、ど、どう、どうし、どうしよう。
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