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「お疲れ様です、南条さん」
三浦さんはそんな私をよそに、さすがと言うべき落ち着きで南条さんに会釈をする。
そうよね、そうだよね、アナタ当事者じゃないですもの。
恥なんてさらしてないんですもの。
「お疲れ様です」
南条さんも自然にそう返して、ドアを開けたままで一歩中に入ってきた。
あ……あれ? 私、もしかして透明人間だったかな?
「小宮さん」
「はっ!」
また武士になってしまった。
しっかりと私の存在が見えていたらしい南条公は、やはり鉄仮面をこちらへ向ける。
「大丈夫ですか?」
「はいっ! おかげさまで、このとおり! ありがとうございました。そして、すみませんでした!」
必要以上に大きくてはつらつとした声を出してしまった。
三浦さんが笑いを噛み殺しているのがわかる。
私のほうは思い切りひきつり笑顔。
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