side N

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「……うん、……うん。そうなんだ。で、センセーは? ……うん」 俺の横で、時峰さんが電話をしている。 反対を向いて話しているが、聞き耳を立てているわけでもないのに、所々耳に入ってくる。 なにやら、何かの先生と話しているみたいだ。 「会いたい」 「……」 会いたい? 「ハハ。なにまだ照れてんの? ウソじゃないし。センセーにはホントのことしか言わないよ。……うん、会いたい、すごく。明後日そっちに戻れるから……」 「……」 通話を終えてケータイをカウンターに置いた時峰さんは、隣に座る俺の顔を振り向いて見るなり吹き出した。 「なんつー怪訝な顔をしてるんですか?」 「いえ」 平日だからか、ホテル最上階にあるスカイラウンジは客が少なく、時峰さんの笑い声がよく響いた。
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