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「了解でーす。じゃ、お疲れ様でーす」
陽気な声で手を振った古賀さん。
彼の乗ったタクシーは速やかにウィンカーを出して、夜の街に囲まれる車道に吸い込まれて行った。
そして、残された4人のいる歩道の前に、またすぐに新しいタクシーがつく。
「課長、お先にどうぞ」
「悪いな、南条。カナ、奥に乗って」
先に羽島課長と三浦さんにタクシーを譲ると、酔いが回っているのだろうか、課長はまたしても自然に三浦さんをそう呼んだ。
照れている顔を俯けた三浦さんを先に乗り込ませると、振り返った課長は、言った後で気付いたのか、
「……悪い」
と同じく少し照れたバツの悪そうな顔で謝り、「会社では、ちゃんとするから」と、口を押さえ、視線を逸らしながら付け加えた。
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