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「……」
それを受けて、なぜか頬を上気させて照れている、第三者小宮さん。
おそらく羽島課長の意外性に、ドーパミンあたりでも放出中なのだろう。
俺が「はい。お疲れ様です」と返した後で、消え入りそうな、でも恍惚とした声で「……お疲れ様です」と言った。
閉まるドア。
会釈をして手を振る三浦さんと、軽く手を挙げる羽島課長。
「え」
小宮さんの声と、俺が背を屈めて斜めにひねり、その唇を小宮さんと重ねたのは同時だった。
ふたりになったことで思わずそうしてしまったことに、ちょうど発進したタクシーの中でハトが豆鉄砲を食っているような顔ふたつが残像のように見えた後で気付く。
特に羽島課長は、衝撃映像でも見たかのような、今までにない顔をしていた。
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