side N

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「すみません」 「………………いぇ」 三浦さんにバイバイをして見送ろうとしていたのであろう右手を上げたままの小宮さん。 おでこまで真っ赤になって、目を見開いたままで小さく返事をした。 「乗りましょうか」 「………………はぃ」 そして、次に停まったタクシーに、俺たちふたりは乗り込んだ。 タクシー内に流れる小音量のラジオが、沈黙を心許なく繋ぐ。 運転席の後ろに座る小宮さんは、シートに背を完全には預けずに、小ぶりのバッグをしっかりと膝の上で握り締めていた。 これは……完全には酔っていない。 というか、醒めたのかもしれない。
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