3024人が本棚に入れています
本棚に追加
「誤解?」
「…………いえ、なんていうか……」
言葉がうまく出てこないようで、おどけたように「ハハ」と作り笑いをする小宮さん。
その真意が語られないことに苛立ちが募る大人げない俺は、
「なにがおかしいのですか?」
と、硬い声を被せてしまう。
小宮さんの愛想笑いの上がった口角が、ゆっくりと下がる。
「はっきり言ってもらわないとわからない」
「……」
への字になって歪みだす唇。
その横顔が背面の窓からの灯りと影の繰り返しで、コマ送りのように目に映る。
「つ…………つきあってるんですか? 私。……南条さんと」
ラストひとコマでやっとこちらを向いた小宮さん。
そのバッグを握る手に、ぎゅっと力が入ったのがわかった。
最初のコメントを投稿しよう!