side K

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「つ…………つきあってるんですか? 私。……南条さんと」 飲み会帰りのタクシーの中、膝の上のバッグの持ち手をぎゅっと握りしめ、頑張って顔を上げて出した声は、我ながらなんとも情けない声だった。 普通にしよう、と思って実行できるほどの経験値など持ち合わせていなかった。 今まさに、『はっきり言ってもらわないとわからない』と南条さんに言われ、そっくりそのまま同じ気持ちの私は、意を決して心の内を吐露している最中だ。 まさかまた、あの資料室の時みたいな緊張を味わうとは思わなかった。 水分はお酒でたくさん採ったはずなのに、喉はカラカラ、逆に手汗はダラダラ。
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