3244人が本棚に入れています
本棚に追加
……いい匂い。
温かい気持ちにもなれば、泣きたいような気持ちにもなる、南条さんの匂い。
「……」
……はい、変態の自覚はあります。
「…………」
そしてまだ、シャワーの音も聞こえます。
しばし顔をうずめたままで固まっていた私は、パッと顔を離し、すぐさまそのコートを頭から被り、袖の部分を前で緩く結んだ。
「ふふ。ふふふふ」
これ、後ろから抱き締められているみたいだ。
体育座りをした私は、ほくほくした気持ちでそのコートの中で笑みを浮かべる。
ふと、ソファー横に置いていたバッグを見ると、そこから顔を出すスマホの通知ランプに気付いた。
ん? と思って取って見ると、それはあーちゃんからのメール通知だった。
「“定期詳細報告求む”……」
私はそれを見なかったことにして、メール画面を終了させる。
最初のコメントを投稿しよう!