side K-2

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10秒。 頭を撫でられている秒数を胸の中で数えたら、10秒だった。 ゆっくりと髪を伝って頬へ下りてくる南条さんの手のひら。 私はそのあまりのゆっくりさにいたたまれなくなって、その手に自分の手を添えると、そっと頭の重みを南条さんの手のひらに移して、顔を俯ける。 「…………懐かしい」 「なにがですか?」 髪にかかった微笑みの吐息に見上げれば、南条さんは私の頬を親指の腹で撫ぜて、 「……大福」 と言った。 「……」 いやいや、わかってますよ。 わかってるけど、こんな場面でそんな……。 「“見つめあったまま近付いてキス”でしたっけ?」 「……っ!」 口角を上げたままの南条さんの顔が間近に迫ったかと思うと、それはそれは優しい触れるだけのキスが唇に置かれ、すぐに離される。
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