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南条さんの指はすでに首元にまで滑り落ちていて、同時に顎のラインに口付けられた。
彼の重みがゆっくり半分ほど重なれば、覚悟はしていたものの心臓が口から出てしまいそうになり、往生際の悪い私は南条さんの服の肩の部分をぎゅっと握る。
「あの、お、お手柔らかに……」
「……わかりません」
「………………」
丸焦げで目をしばたたかせる私を見てふっと笑った南条さんは、私の前髪を全部上げ、そのおでこにわざと小さな音を立ててキスをした。
黒王子……ここに君臨したまふ……。
私は心の中でそう唱えて、なかば観念するように意を決して目を閉じた。
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