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「以前会っていたとは知らず、驚きました」
「私もそれ聞いたとき、びっくりしました」
「思い出したんですけど、夏に本屋の前を小宮さんと一緒に歩いていたのも彼女だったんですね」
「え?」
「小宮さん、踊っていました」
「…………」
…………マジか。
目当てのBL本をゲットして浮かれていましたとは言えない。言えやしない。
そうこう話しているうちに、すぐに南条さんのマンションに着いた。
近いとは知っていたけれど、車で5分もかからない距離に、今後のことを想像して脳内は忙しなかった。
南条さんに荷物を持ってもらって部屋に案内される私は、まるで貴族に嫁いだ一般庶民。
彼の後についていきながら、緊張で飲んだ生唾で腹が膨れるほどだった。
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