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けれども彼女は、お酒を飲まない限り、俺の前ではあんなふうに笑わない。
いつも俯きがちで、なぜか申し訳なさそうな、自信のないような顔をしている。
別に、今までもそうだったし、取り立てて支障があるわけではなかった。
けれども、最近になってなんとなく、……いや、けっこう気になるようになってきた。
彼女の表情が、自分の前でだけ不自由だということに。
「小宮さん」
「はいっ!」
「いつも入力してもらっているこの表ですけど、ここに数式入れてこっちと連動させるんで、次回から入力するときは……」
小宮さんと古賀さんの会話が終わったときには既に湯呑みを空けていた俺は、盆を片付けて戻ってきた彼女をそのままつかまえ、パソコンを前に説明する。
別に今すぐに伝える理由はなかったのだが。
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