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「はい。……はい。わかりました。えっと……、こういうことですよね?」
説明を聞き終え、パソコン画面を覗き込んでマウスに触れた彼女。
ふわっと微かに香った髪の匂いに、急に詰められた距離を理解する。
画面の光を反射している、何度も瞬きする瞳。
意外と長いその睫毛。
ほんの少しだけ開いた艶のある唇は、やや厚めでぷっくりしている。
頷くことで少し癖のある細い髪がふんわりと顎の下で揺れ、間近で見る小宮さんの無防備な横顔に、業務中だということを一瞬だけ確かに忘れた。
「なるほど。わかりやすくなりました。南じょ……」
「……」
「うわっ! すみませんっ」
こちらを向いたことで距離感に気付いた彼女は、コントのようにのけ反って、後ろを歩いていた羽島課長にぶつかった。
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