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「……すみません」
なぜか謝り返した小宮さんに我に返るが、再来する微妙な空気に、やはり言葉は出てこない。
でも、呼び止めた以上、何か言わなければいけない。
半開きのドア。
二人を仄かに照らし続ける車内灯。
数秒間熟考した後、ようやく重い口を開く。
「来月にでも、また、美味しいものを食べに行きませんか? 古賀さんがいい店を知っていて……」
「はっ、はい! 喜んで! 古賀さんと飲みに行こうって話をしてたんで、ちょうどよかったです。古賀さんも南条さんと一緒にだなんて、喜ぶと思います!」
俺の言葉に被された返事は、思いがけない方向へ転換した。
古賀さんというオプションを付けて。
小宮さんの目が、急にキラキラした気がする。
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