side K

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「すみませんが、この見積もり、こことここをこうして、……して、それでFAXで……」 「はいっ、……はい、……はい」 身を乗り出して指示を受け、私は思い切り脳内ギアチェンジをして書類を受け取る。 いかんいかん。けしからん。 業務中、業務中、業務ちゅ……。 「小宮さん」 「はっ!」 南条さんの再度の呼びかけに勢いよく顔を上げ、思わず軍隊みたいな返事をしてしまう。 「……今月の半ばあたりで空いている日がありますか?」 「…………」 正しすぎる姿勢で淡々と聞いてくる南条さんに、きょとんとミーアキャットみたいな顔を晒すと、彼は、 「店、予約しますので」 と続けた。
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