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そう、彼は王子なのだ。
デスクが目の前だからって、補佐をしてるからって、車に乗せてもらったからって、食事に誘われたからって、私みたいな庶民と何かが起こるわけがない。
「よし! 古賀っち、もう一杯頼もう、景気づけに」
「え? なんの景気っすか? さっきは飲みたくないって言ってたのに。それに、もうすぐお開きっすよ」
「うるひゃい」
今日も帰ったら、イケメン同士のマンガを読もう。
美しいイケメン達のそれはそれは崇高で切なくも甘い恋愛物語。
私が南条さんへ抱く憧れに似ている。
ありえなさすぎてかえって楽しめる、そういう次元のお話。
だから、期待したり傷付いたり、そんな本物みたいな感情は必要ない。
頭の中でだけ、夢の中でだけ、自由に楽しませていただければそれでいいんだから。
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