side K

12/12
前へ
/32ページ
次へ
そう、彼は王子なのだ。 デスクが目の前だからって、補佐をしてるからって、車に乗せてもらったからって、食事に誘われたからって、私みたいな庶民と何かが起こるわけがない。 「よし! 古賀っち、もう一杯頼もう、景気づけに」 「え? なんの景気っすか? さっきは飲みたくないって言ってたのに。それに、もうすぐお開きっすよ」 「うるひゃい」 今日も帰ったら、イケメン同士のマンガを読もう。 美しいイケメン達のそれはそれは崇高で切なくも甘い恋愛物語。 私が南条さんへ抱く憧れに似ている。 ありえなさすぎてかえって楽しめる、そういう次元のお話。 だから、期待したり傷付いたり、そんな本物みたいな感情は必要ない。 頭の中でだけ、夢の中でだけ、自由に楽しませていただければそれでいいんだから。        
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3135人が本棚に入れています
本棚に追加