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こういうさりげなさを被ったアプローチは、自意識過剰と言われてもいいけれど、知らず知らず見抜けるようになっていた。
当たり障りのないようでいて小さな駆け引きを散りばめてくる女性を疎んじているわけではない。
逆に、そういう見方しかできない自分に嫌気がさしている。
「はい」
それでも断る言葉が見つからない俺は、言われるままに自分のケータイを取り出し、連絡先を交換する。
登録画面に目を落としていた彼女が微笑んだ。
「……というのは建前で、またふたりでお会いできたら嬉しいと思っています。すみません」
顔を上げ、しっかりと目を合わせて言う仁科さん。
照れなどは見受けられず、清々しいほどの笑顔。
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