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「そもそも、器用とかないだろ」
「そうですか？」
「自分の感情をコントロールできてるうちは本気じゃないだろうし」
「……」
「まぁ、南条レベルなら、普通に口説いてりゃ落ちるんじゃねーの？ 好きだって言ってキスのひとつやふたつ……」
「同僚だとしてもですか？」
「はっ？」
「同じ課で毎日顔を合わせる相手だとしてもですか？ 相手の業務に支障が出たり、信頼関係を失ったりと、デメリットも大きいですよね」
「おま……。もしかして……」
見当がついたのだろうか。
怪訝な顔をもっといぶかしげにした課長は、運転中にもかかわらず、こちらに視線を一瞬だけ寄こした。
「その人と駅近くの中華料理店行った？」
「はい」
「……」
課長は強張った表情をそのままに、コンビニに車をつける。
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