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「おい、小宮さんと話すんじゃなかったのか? いい加減ゆっくり酒を飲ませろ」
「課長! 私も古賀さんを救いたいです」
羽島課長と古賀さんの絡みの横で、私も茶々を入れる。
課長はなんだかんだ言って古賀さんに乗せられ、昔の彼女の話をさせられている。
プライベートがよく見えてこない課長のそんな話は、大変貴重である。
でも……。
「その、塩ついてる酒、美味しいんですか?」
私の隣の隣で三浦さんと話している低い声に、無意識で耳が大きくなってしまう。
一次会では長方形のテーブルでそれぞれでかたまった会話をしていたけれど、丸いテーブルはみんなの会話が聞こえてしまうから困る。
「え? あ、はい。まぁまぁ。……飲みます?」
え? 飲みます?
「じゃあ、ひと口」
ひと口!?
慌てて振り返ると、三浦さんのグラスにためらいもなく口をつけた南条さんが目に映った。
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