side N

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あぁ、そういえばその店の前で課長を見たんだった。 あの時、課長もこちらを見ていたのか。 「おはようございます」 開いた後部座席のドア。 コンビニで待っていた三浦さんが乗り込んできて、車内の空気が一瞬で変わった。 「おはようございます」 「……はよーございます」 おそらくだが、ここ最近、ふたりの間に何かがあったのだということはうかがえる。 ふたりとも目を合わさないくせに、互いの存在を過剰に意識しているように見えるからだ。 「あれ? 古賀さんは……」 「彼は風邪をひいて熱が出たらしく、来れないそうです。最近、うちの課は風邪ひく人が多いですね」 三浦さんの質問に答えると、おかしなことは言っていないのにもかかわらず、ふたりとも何も言わなくなった。    
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