side N

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「それはできません。それに、お借りしたものは今年中にお返ししたいので。そちらももうそろそろ仕事納めでしょう?」 「……」 仕事納めは明後日だ。 夜には二課のお疲れ様会なるものもある。 「お食事しましょう、なんて言いませんので、夕方、コーヒー一杯くらい奢らせてください。あ、もちろんご用事があるのなら、無理は言いません」 「……」 こういうのを誘い上手だと言うのなら、自分には到底できない芸当だ。 彼女はじっとこちらを見つめ、「ね?」と言って微笑んだ。      
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