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第1章 当たらぬ馬券
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僕にとっては生きがいのような競馬だが、亮子にとっては苦痛以外の何ものでも無かった。
付き合いだして一ヶ月たった頃、一度だけ一緒に競馬観戦をしたことがある。
競馬場は遠いからと、新宿のウインズに行ったのだ。
今にして思えば、日時と場所がまずかった。
狭い建物の中が、汚らしいオヤジどもでむせ返っている。
満員の通勤電車より悲惨な空間だと、亮子は憤りを全面に出して、僕に抗議した。
それもそのはず、その日は有馬記念当日であった。
後で知ったことだが・・・
単独競争としての勝馬投票券の売り上げ世界レコード875億104万2400円を記録した日であった。
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