第45話

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 そのままM4の銃口を窓に向ける。速人はゆっくりと狙いをつけて引き金を引いた。ニコらと撃ち合っていた敵の一人の後頭部に命中する。すぐに銃を動かし、次の敵に向けて銃弾を放つ。今度は狙いが少しはずれて、背中に当たる。冷静に誤差を修正し、二度続けて引き金を引く。二発とも頭部に命中し、その敵も動かなくなる。  敵も後ろからの銃撃に気が付いたようだが、建物には味方しかいないと思い込んでいるのか、すぐには撃ち返してこなかった。混乱が手に取るようにわかる。  ニコらに対する圧力も減ったようだった。ニコがこの時とばかりに銃撃を浴びせる。フルオートで撃ちまくるニコの攻撃でまた一人の敵が倒れた。  速人はそのまま、静かに別の敵に照準を定めた。ダン、ダン、ダン、と規則正しく三発の銃弾を発射する。一発は外れたが二発は頭部に命中した。  あと三人。さすがに敵も速人に向けて発砲を始める。隣の窓ガラスが割れるが、速人は焦ることなく銃の狙いを付け、引き金をゆっくりと引き続ける。今度は体と足にしか命中せずに速人は舌打ちする。敵はフルオートで速人に向かって撃ちまくるが、彼はほとんど脅威を感じなかった。  そのうちに敵はいつもの高速移動をはじめた。素早く動きながら発砲してくるが、動きながら銃を撃つのは非常に難しい。速人の近くには一発も飛んでこなかった。  運動には必ず限界がある。いくら速く動いていてもいつかは止まる。速人はそれを待ち、そしてその時を逃さなかった。頭に弾丸を喰らい敵が倒れる。  ニコ、そして達也の逆方向からの銃撃が激しくなる。残りの二人はニコたちを狙い、信じられない速度で動いたが、その内の一人は速人の放った弾丸を足に受けほんの少しスピードが落ちた。そのスキを逃さずニコが至近距離から撃ち倒す。  最後に残った一人は怖じ気づいたのか、方向転換し宿舎から離れようとした。しかし速人はその行動を読んでいた。逃げようとする敵に向かって連続で撃ち続ける。最初は背中、そして足。銃弾を受けるたびに体が揺れ、それでも構わず走ろうとするが最後の弾丸が頭部を貫く。  ニコたちが走り出すのが見える。速人は弾倉を新しいものに交換した。窓から離れ、茜らのいるドアを叩き、彼女たちを呼び寄せた。体を低くするよう身振りで示し、階段に近付いていく。
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