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真ん丸の月が夜空を煌々と照らしている。
周囲は真っ暗で明かりと言えば校内の非常灯と学校外で道を照らす街灯のみだ。静まりかえった深夜の学校は不気味な空気を醸し出している。
その校庭の端に一匹の大きな狼が佇んでいた。目立たないように身体を縮こまらせてその狼は校舎を見上げていた。
鳴くわけでも何をするわけでもなく、ただ月に照らされる校舎を見上げる。
――もう、ここにもいられないか
切なげな表情は誰も見ることは出来ない。
ゆっくりと起きあがると狼は静かに学校を去っていく。
「せめてお前たちは卒業させたかった」
残り時間が短いことは分かっていた。
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