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「規定を変えられるくらい、出世を頑張ろうかな……」
「応援してる」
「ありがとう」
彼は心にもないことは口にしない。
だから本当に、応援してくれているのだろう。
二人とも数か月後には卒業だが、彼が応援してくれているのだと思うと、それだけでこの先も頑張れる気がした。
「卒業しても、友達でいてね」
「気が早くない?」
「えっと、先行予約、みたいな?」
「何言ってるんだか」
言葉の割には、優しい声色だった。
彼を初め、自分に温かい気持ちをくれたたくさんのひとに。
これから先、少しでも報いることができればいいなと思う。
「実習が決まれば、今年のクリスマスはお互い忙しくなるね」
「ああ」
「忙しく、なってるといいな……」
彼が頷いたのを見て、わたしはまた、胸の中にじんわりとした温かさを感じた。
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