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全てが、退屈だった。
高校を卒業して、大学に行って華やかなキャンパスライフ。
そんな夢見てた日々もあったし、自分なりにこんな風になりたい、やりたいって思いもあって、今こうして大学に通ってる訳だが…。
実際の現実は思い描いてた物とは大きく違った。
才能がある者だけが生き残り、勝ち上がり、自分の夢を叶えていく社会。
無い者は僕の様にただ退屈な毎日の中で卒業後の自分を憂う事ばかりだ。
運動も駄目、特別頭も良いわけでも無く、これと言った才能も無い。
そんな自分がただ嫌いだった。
「良いこと無いかなー。」
いつもぼやきながらため息。
退屈だった。
ただそれだけ。
自分は結局なんの為に生きてるのだろうか。
そんな事ばかり考えながら、今日も大学に向かう足取りは重い。
「はー。
なんか面白い事無いかなー…。」
自然と出るため息。
そしてぼやき。
「よー!
面白い事探してんの?」
そしていきなり話しかけてくるクラスメート。
…ん?
「誰だよ?」
「おいおい!
クラスメートに誰だよは無いだろ!
キツいなー!」
目の前のそいつは、僕の悪態に対しても意に介さず気さくに笑っている。
「梅村だよ!梅村!
覚えてくれよ?」
まぁ、本当は知ってる。
常にクラスメートに囲まれてるような人気者で、住む世界が違うと見向きもしてなかっただけだ。
「へー。」
興味がない。
返事も適当に返し、背を向ける。
「あっ、おい待てって!
人の話は最後まで聞くもんだぜ!」
めんどくさい。
ため息を吐きながら仕方なく向き直る。
「なんだよ?」
「楽しい事、探してんだろ?
ならさ、今日、ちょっと付き合わない?」
「は?
ふざけてんの?」
相変わらず、相手のペースについていけない。
「まぁ、聞けよ!
詳しくは歩きながら話すからさ!」
朝からめんどくさいのに捕まった物だ。
今日は最悪な1日だ。
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