プロローグ

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「倉田ってさ、あんまし友達作んないよな!」 なんだ、わざわざ皮肉を言う為に呼び止めたのか。 「何だよ、嫌味か。」 「違う違う! それってさ、何か理由があるのかなって思っててさ。」 いきなり何でそんな事を聞くのだろうか。 僕だって出来るならとっくにやってる。 「お前と僕とじゃ住む世界が違うんだよ。」 そう、全てが違う。 生き方も、環境も、考えも。 「ははは!」 それを聞いて笑いだす梅村。 とことん嫌な奴だ。 「住む世界は一緒じゃん、同じ大学、同じクラス、おまけに家だって近いじゃないか!」 「なんで知ってんだよ。」 「帰り道によく見るからなー! そしてお前のぼやきもいつも聞いてる。」 「あのさ、結局何が言いたいんだよ。」 意味が分からない。 「倉田、友達、欲しくないか?」 「は?」 本当に分からない。 「お前はさ、俺とは住む世界が違うって言ったよな?」 「そうだよ。」 「俺はそうは思わない。 そして、お前にも友達は作れる。 断言する。」 「そんな、何を根拠に。」 「俺がそう思うからだ!」 無駄にキラキラした眼差しでそう言い放つ梅村。 「根拠なんてさ、最初から無いものだよ! 誰かが言ってた! 言ったもん勝ちだよー!」 「いやいや…。」 考え方がまるで違う。 むしろ、なんでそんなに違うのかとすら思える。 「前置きが長くなったけどさ! さっきのお誘いの話に戻そう。」 「お誘い?」 「そ、倉田、今日の夜一緒にオフ会行かない?」 「は? オフ会? 何だよそれ。」 「やっぱし知らないか! まぁ、そうだろうね。」 「何だよ。」 イライラする。 「ネットでさ、ログインした状態の事をオンラインって言うだろ? オフ会はオンライン中に集めた人と実際の世界でも繋がるのを目的とした会なんだ。 だから本当に色んな人が来る。」 「い…いやいやいやいや! 無理だよ! そんな知らない人ばっかりの会、行ける訳無いだろ!?」 「ふー…。」 突然深い溜め息を吐かれる。 「そうやってずっと逃げんのか?」 「!?」
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