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自宅の自分の部屋にて。
あの後、梅村から待ち合わせの場所や時間等を細かく伝えられ、今は一度家に帰って支度をしている最中だ。
「やれやれ…。」
今日はいつもと違って騒がしい1日だった。
元々クラスメートだったが、全く話さなかった梅村が、突然話しかけてきたと思えばオフ会に一緒に行こう。
自分の中で、衝撃的な事が連続で起きた。
「あら、あんた出掛けるの?」
母さんがドアから顔を出す。
「あぁ、ちょっとクラスメートに誘われてさ。」
「へー!
あんたが誘われるなんて珍しいわね。」
皮肉混じりに、笑いながら、母さんは言う。
「うるさいなー。
別に良いだろ?」
「良いけどね。
あんた高校出てからあんまし遊びにも出ないし、ちょっと心配してたのよ。」
「それは…。」
「まぁ、楽しんで来なさいな。」
それだけ言うと、母さんは姿を消す。
確かに、僕は大学に入って大きく変わった。
高校では友達だって出来たし、遊びに行く事だってあった。
でも、ある日を境にそれが嫌になって逃げたんだ。
だからか、こうして今、人に誘われると言う経験はあまりに新鮮で、どこかで期待している自分もいる。
「とは言え…。
大丈夫かなー。」
結構勢いで承諾したところもあり、まだまだ不安は募る。
本当に僕はオフ会と言う環境で上手くやれるのか。
知らない人ばかりの会で、ちゃんと馴染めるのか。
不安から足取りは自然と重くなるが、仕方なくとぼとぼと家を出た。
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