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「さて!
俺は参加者と話してくるから二人も楽しんで!」
突然それだけ言い放ち、颯爽と走り去る。
「あ、おい!
梅村!」
「ヒロくんって言ったろ!
ゆうくんも上手くやれよー!」
遠くから振り返ると、妙ににやけた顔で梅村はそれだけ言い、また向き直り人混みに消えてしまう。
「ったく…。
あいつは…。」
これからどうすれば良いのか。
どうやって話しかければ良いのか。
頭を掻きながら考え込む。
「ふふふ。」
突然、絵里さんが微笑む。
「彼、面白いね。」
「あいつが?
まっ……まぁ、ちょっとよく分からないけど。」
「ヒロくんとはクラスメートなんでしょ?」
「あ、いや、まぁそうなんだけど、あいつとは実は最近話し始めたばかりで…。」
「最近!?
へー。
凄いなー。
もっと長い付き合いなのかと思った。」
「いや、ははは。」
なんて言うか、何を話せば言いか分からない。
人見知りな性格と緊張で真っ白になった頭が、僕を追い詰める。
「ふふふ。
ゆうくん、凄く緊張してる。」
手で口元を抑え、彼女は無邪気に笑って見せる。
それに対するツッコミより先に、異性にその呼び方をされた事にドキっとして顔が赤くなる。
それを見て彼女は更に大笑いする。
「わ、笑わなくても良いじゃないですか。」
「ふふふ、ごめんごめん。
ゆうくんってさ、そんなに緊張するのにどうしてオフ会に来ようと思ったの?」
まだ、にやついた顔を変えずに、彼女はそんな事を聞いてくる。
「え、えっと。」
真っ白な頭をなんとか整理して考える。
「梅村に誘われたから…。」
「え、本当にそれだけ?」
「え?」
突然彼女は何を言うのだろうか。
「だって、最近知り合ったばかりの彼に、ただ誘われただけで、オフ会に来るの?」
「いや、まぁ…。」
「そんなに緊張してるし。
何か他にもありそうだなって。」
なんと言うか見透かされてる様な感じがした。
「あー……えっと。
長くなるんだけど良いかな。」
「うん、聞かせて!」
近くの座席に腰掛けると、僕は語り始めた。
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