華麗なる日常の幕開け

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 学園長先生の長い長い話がやっと終わって、今度は新入生代表の挨拶になった。 今年の代表者は、入学試験で成績一位を取ったICクラスの男子生徒らしい。この新入生代表挨拶がお待ちかねの今日の目玉イベント。 噂では相当な美男子で、なんでもどこかの国の大使の息子だとかなんだとか。 一体そんな情報どこから仕入れてくるんだよって感じだけど、全く、今のネット社会ときたら・・・なんでもお見通しみたい。   噂通り、壇上に上がった少年はびっくりするほどの美青年だった。 ちょっと会場がざわついたほどだった。 彼が今年の新入生代表。「神咲 黎音(レイン)」くん。トルコ人の父とと日本人の母とのハーフで、生まれも育ちもあちら。 日本へは母の母校であるこの学園で学ぶために留学も兼ねて入学を決めた。 と壇上に上がる間、司会の先生が紹介してくださった。 確かに堀の深い中東系の顔立ちをしているけれどどこかアジア人の面影がある。 濃すぎないアラビアンフェイスに栗色の髪、そしてここからでもはっきり見える綺麗な青い瞳をした、ほんとうに御伽噺みたいな美青年。 面白かったのは、そんな Chandra Mahalの王子様 みたいな美青年が流暢な日本語で挨拶をしていたということ。 あと多分お母様の旧姓かなんかだと思うけれど、名前が神咲 黎音っていう漢字表記。 レインって別にカタカナでいいのに余計なことをしたせいで、せっかくの異国情緒がキラキラネイムみたいになってしまっている。 でも、周りの女子勢はそんなのお構いなしに、まるでアラビアンナイトの星星ばりに目を輝かせて(ギラつかせて)彼を眺めていた。
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