子猫が嫌がる

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撮影が終わり、誰もいなくなった教会の一室で、シオンはようやく東雲に話しかけた。 二人が並んでいる姿は、まるで、これから式を挙げる新婚のように見える。 「貴方は、順番がデタラメなんですよ」 告白する前に、押し倒したり、 無理やりドレスを着せて、プロの写真撮影を申し込んだり、やり方がメチャクチャだ。 「俺はただ、本能にしたがったまでのこと。それと、君への贈り物だ。」 東雲は優しく手を取ると、シオンの左手の薬指に指輪をはめ、そして恭しく指輪に口付けをした。 どうして、こんなことになったのか? どうするのが、正しかったのか。 ボク達は、これからどうなるのだろう? 色んな思いを込めて、左手を空に掲げ、東雲から贈られた指輪を眺める。 「指輪はロマンチックかもしれないが、本当は怖いものなんだよ。 女性をつなぎとめるために、はめられていた首輪が簡略化されたもの、という説がある」 「そういう情報、どこで調べているんですか?」呆れたようにシオンは返した。  自分の事を調べ尽くす手法といい、東雲には謎が多すぎる。 指輪をグッと引っ張ってみても、ビクリとも動かない。 「簡単に外れないように、少しキツメにあつらえているからね」 「逃げても、拒絶しても... ...   貴方は力ずくでボクを手に入れる。そういう事ですか」シオンはため息をついた。 災難に見舞われたとも言えるような、普通とは違った条件で生まれた、深い関係。 恋のはじまりが幸せとは限らない。 それでも、次第にお互いを認め合う存在になっていくことがある。
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