子猫が嫌がる

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「お姫様扱いしないでください!!」 「そう言われてもね。足を開いて喘ぎ声を上げる君を、気高い騎士とは呼べないな」 クスリと笑った東雲に、勢い良く枕を投げつけた。それでも足りなくて彼の胸をボカボカ叩いた。 「けだもの!! 節操なし!!」 「無理を言って衣装を借りてきたんだから、暴れないでくれよ?」 叩き続けるシオンをなだめながら、東雲は肩をすくめた。 床には、手で軽く払い除けられた枕が転がっている。 「こんなこと... ...子供だってバレたらどうするんですか」 「年齢については、うまく丸め込むから問題ないさ」 焦っているシオンの顔を見て、東雲は更に続けた。 「大丈夫。喋らなければ、誰も男の子だって気がつかないさ。  容姿だって君は、その辺の女性より綺麗な顔立ちだからね」   「嫌だ!! こんな格好で写真撮影なんて冗談じゃない」  責任とってと言ったが、そういう意味じゃない。 「今更ガタガタ言わないの。もう車も手配してあるんだから」 「土壇場で花嫁に逃げられた。事実なんだから、そう断ればいい!!」  ベットから降りて部屋から出ていこうとすると、ドレス姿のまま抱きかかえられた。 「降ろして下さい!!」 「それとも、町中を歩いて行くかい?   お姫様抱っこされた花嫁が、みんなの祝福を浴びるのは、素敵な光景だと思うな」 「そんなの、楽しいのは貴方だけでしょう?!」 ジタバタと暴れるが、裾の長いベールに包まれているせいで、自由に動けない。 抵抗も空しく、抱えられたままシオンは東雲に連れて行かれた。
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